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【専門解説】はんだ作業におけるフラックスの役割と、鉛フリー・ハロゲンフリーはんだの違いと注意点!

先日、お客様からフラックの選び方に関して質問を頂きました。

基本的に当店では、技術サポートなどの問い合わせは承っておりませんのでご質問いただいてもお応えかねますが、時々技術面や扱う道具、作業のやり方など質問がくることがありますので今回フラックの需要性や選び方に関して説明させて頂きます。

電子機器の組み立てや修理、改造の現場では「はんだ付け」が欠かせない作業ですが、その品質を大きく左右するのが「フラックス」です。また、近年では環境規制や安全基準の高まりにより、「鉛フリー」「ハロゲンフリー」といったはんだ材料の選定が重要視されています。

フラックスの役割と鉛フリー・ハロゲンフリーはんだの違い、そしてそれぞれの注意点を専門的に解説させて頂きます。

目次

フラックスとは何か?──その明確な役割と必要性

フラックス(Flux)とは、はんだ付け時に用いる化学薬品で、金属表面の酸化膜を除去し、はんだが金属表面にしっかりと濡れ(濡れ性)を持って流れるようにする役割を担います。

フラックスの主な役割:

  1. 酸化膜の除去と防止
     金属表面は空気中の酸素によって酸化しやすく、酸化膜が形成されるとはんだが付着しません。フラックスはこの酸化膜を化学的に除去し、さらに加熱中の再酸化も防止します。
  2. 界面張力の低下
     金属表面の表面張力を下げ、はんだの「濡れ性」を高めることで、均一で美しいはんだ付けが可能になります。
  3. スパッタ(飛び散り)やブリッジの防止
     適切なフラックスの使用により、はんだが狙った場所だけに留まり、隣接端子とのショート(ブリッジ)を防ぐことができます。

フラックスの種類と選定基準

フラックスには用途に応じた複数のタイプがあります。

タイプ特徴用途例
ロジン系(松脂)基本的で最も一般的。電子機器全般に使用基板実装、一般修理
活性ロジン(RA)より強力な洗浄性あり。後洗浄が必要高信頼性回路
無洗浄タイプ(No-Clean)残渣が少なく、後洗浄不要モバイル機器や精密機器
水溶性フラックス高い活性を持つが、必ず洗浄が必要医療機器や軍用電子機器

実例:

  • スマートフォン基板の修理では、No-Cleanタイプが主流。洗浄の手間がなく、基板表面の美観も保てます。
  • 軍用機器や医療機器では、信頼性を最重視するため、水溶性フラックスを使用し、超音波洗浄で徹底的に残渣を除去します。

鉛フリーはんだの特性と注意点

環境への配慮から、欧州RoHS指令を中心に鉛フリーはんだの使用が義務化されています。現在、電子機器製造では鉛フリーが標準となっています。

主な鉛フリーはんだ合金:

  • Sn-Ag-Cu(SAC合金):最も一般的(例:SAC305)
  • Sn-Cu系:安価だがやや脆い
  • Sn-Bi系:低融点はんだ(用途限定)

注意点:

  1. 融点が高い(例:SAC305は約217℃)
     鉛入り(Sn-Pb合金:約183℃)よりも高温が必要で、部品や基板への熱ダメージリスクが増します。
  2. 濡れ性が劣る
     鉛入りはんだよりも濡れが弱く、フラックスの性能がより重要になります。
  3. クラック発生のリスク
     硬くて脆く、熱サイクルで割れが生じやすい傾向があるため、基板設計時の応力対策も重要です。

ハロゲンフリーはんだとは?

「ハロゲンフリー」は、フラックスやはんだ材料に臭素系・塩素系化合物などのハロゲン元素が含まれないことを意味します。

主なメリット:

  • 燃焼時の有害ガス排出が少ない
     火災時にダイオキシン類の発生を防ぐため、特に航空機や公共設備、車載機器などでの使用が進んでいます。
  • 基板腐食のリスクを軽減
     一部のハロゲン化合物は、はんだ付け後に金属表面を腐食することがあるため、長期的な信頼性向上につながります。

注意点:

  • フラックスの活性力が弱くなることがある
     ハロゲンはフラックスの洗浄力(酸化除去)に寄与する成分であるため、ハロゲンフリー化により性能が落ちる可能性があります。
  • 価格が高い傾向
     安全性や信頼性が高まる反面、材料費が上昇するため、用途に応じた選定が必要です。

実践ポイント

  1. 適材適所の材料選定が最重要
     鉛フリー × ハロゲンフリー × No-Cleanの組み合わせは万能ではなく、基板の設計、熱容量、用途によって最適な組み合わせを選ぶ必要があります。
  2. フラックスの補助使用が必要な場合がある
     鉛フリーはんだを使う際は、ペーストに含まれるフラックスだけでは不十分なことがあり、外付けフラックス(ペン型、液体)を併用すると品質が向上します。
  3. こまめなコテ先清掃が品質を左右する
     鉛フリーはんだは酸化しやすく、コテ先が汚れやすいため、作業中は定期的にコテ先クリーナーで除去するのが理想です。

まとめ

フラックスは、はんだ作業における“見えない主役”です。適切なフラックスの使用と材料選定によって、はんだ付けの品質は飛躍的に向上します。また、鉛フリー・ハロゲンフリーといった新しいはんだ材料は、単なる「環境対応」だけでなく、製品の安全性や信頼性にも大きく関わります。正しい知識と経験に基づいた材料選定とフラックスの活用こそが、プロの技術者に求められるスキルです。

鉛フリーフラックス」や「ハロゲンフリーフラックス」が、それぞれ鉛フリー・ハロゲンフリーはんだとセットで使うべきか?

  • 鉛フリーフラックスは、必ずしも鉛フリーはんだとセットで使わなければならないというわけではありません。
  • ハロゲンフリーフラックスも同様で、ハロゲンフリーはんだとの組み合わせが必須ではありません。

ただし、組み合わせによって最適な性能が得られるケースが多いため、推奨されることがあるという点は重要です。

フラックス種別鉛入りはんだ鉛フリーはんだ備考
鉛フリーフラックス○使用可◎推奨高温に強く、どちらにも使えるが鉛フリーと最適相性
従来型(鉛用)フラックス◎推奨△非推奨鉛フリーには能力不足になる可能性
ハロゲンフリーフラックス○使用可○使用可活性が弱い場合があるのでテスト推奨
ハロゲン含有フラックス◎推奨◎推奨高活性だが環境制限がある製品では避けるべき

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